千川クリニック
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書籍

起立性調節障害
Orthostatic Dysregulation (OD)
阿部忠良 千川クリニック院長(東京)

今日の治療指針2002年版(Volume 44)
発行 2002年1月1日 第1刷(C)
監修 多賀須幸男・尾形悦郎
総編集 山口徹・北原光夫
発行所 株式会社 医学書院

病態と診察
 思春期前後の児によく見られる自律神経失調症の一つである。しかしその症状から循環器疾患,心身症,不定愁訴症候群としても扱われている。
 本症の発生には起立時の末梢血管系,特に下肢の静脈系の起立反射機構の欠如が大きな原因となっている。正常児では起立時に血管の圧受容体などの刺激により静脈系の収縮が起き,血管内の血液貯留を防ぎ,環流静脈血量が維持されるが,本症の児ではこの血管反射作用がすぐ起こらないために様々な症状が起きる。
 診断は診断基準によるが,大部分が問診なので注意を要する。本症の特徴としては症状は午前中に強く,午後から夜にかけてよくなることが多い。また親兄弟,特に母親に同様の症状が見られることが多い。
起立性調節障害

女子大生のための小児保健学
監修 馬場一雄・中村博志
著者 馬場一雄・中村博志・阿部忠良(他15名)
編集・発行 株式会社日本小児医事出版社
〒160-8306 東京都新宿区西新宿5-24-18

起立性調節障害(OD)とは
 起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation,以下ODと略記)は思春期前後によく見られ自律神経失調症の1つである。しかしODはとくに起立することにより発生する立ちくらみ,目まい,脳貧血などの循環器系の症状が目立つことから,循環器系の疾患として取扱われることが多い。また様々な訴えを有することから不定愁訴症候群や心身症の1つとも考えられている。
 ODは生命そのものに直接かかわる疾患ではないが,比較的訴えが多いこと,朝症状が強くしばしば登校出来ないこと,好発年齢が受験期にあたることなどから,学校保健上でも多くの問題を有する疾患の1つである。
 ODは1938年にSchellongによって発表されたが,本邦では1958年大国らにより報告され,1960年に小児起立性調節障害研究班により,その診断基準が決定された。
 成人でもODと似た症状を有する起立性低血圧症,神経循環無力症,心臓神経症,不定愁訴症候群などの疾思があるが,ODとはやや異なる点があり,その関連性については今後の研究を持たねばならない。
過換気症候群

小児プライマリケアマニュアル
発行 1991年4月1日
編集者 白木和夫・阿部忠良
発行所 株式会社 南江堂

過換気症候群
 身体的ストレス(勉強や部活などによる)自己価値の傷つき(お前はダメだといわれることなど),依存・愛情の対象喪失(親や親友など頼りたい人に頼れない状況等)等,何らかの原因による心身の興奮に伴って,発作性の過呼吸(努力性呼吸発作)が生じ,呼吸器系,循環器系,筋肉系等にさまざまな症状を呈する症候群で,呼吸性アルカローシスを呈するものをいう。思春期前後の女児に多く,男女比は約1:2である。